ビールのにごり
黒ビールをのぞけば、色に関する一般的なビールのイメージは「透明」で「美しい琥珀色」ですよね。
ところが製造工程初期のビールは濁りがあります。それではどのように透明に変わっていくのか...? どのブリュワーも濁りをとる作業に神経を使います。
濁りの原因はいくつかあり、その方法もひとつではありませんが、代表的な作業としてビールを冷やし、ビールの中に舞っている酵母をタンクの下の三角部分に澱として沈めることでビールの濁りを取り除く作業があります。この作業はビールの熟成をともない時間をかけてじっくりとおこなうため忍耐が必要。美味しくなるのをじっと待ちます。
もうひとつの作業では、濁りの原因であるたんぱく質を凝固させて取り除く「煮沸」という作業工程があります。卵の白身が固まる現象と同じですね。煮沸は通常100℃でおこなわれますが、以前もお話したことがあるように、ここでは高い標高によって沸点がかなり低くなります。そのため凝固しきれないたんぱく質もありビールには若干の濁りが残ります。
でも、濁りも美味しさのひとつ。私たちはこれこそテロワールと考えています。すべてのビールが同じであったらクラフトビールの個性や楽しみも減ってしまいますね。少しの濁りを残して楽しむ。それがそれぞれのブルワリーの個性にもつながっているのだと思います。
画像のビールは私たちの「ニューイングランドIPA」の発酵初期の画像です。このビールは、あえて濁りを楽しむスタイル。IPAから派生したビールスタイルで、たんぱく質を多く含み濁りの原因となっています。IPAでありながら苦みが少なく、ホップの香りに溢れています。ニューイングランドとは「ニューヨーク」や「ボストン」などのアメリカ東海岸のエリアを言います。見た目のインパクトも強くとろりとした舌触りも相まって一躍大人気のスタイルとなったのです。
「ニューイングランドIPA」350ml 680円(税込)
つくれる量も少なく、人気もあって時折欠品となりますが見かけたらぜひお試しください。