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醸造所開設までの様々なこと。

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クラウドファンディングをスタートしました

開業も間近に迫りました

皆様には感謝を申し上げるとともに、さらなるご支援をお願いします

長らく開業までの道のりをブログにまとめてまいりましたが、いよいよその開業が目前に迫ってまいりました。これまで多くの皆様にたくさんのご声援やご協力をいただけましたことを心より感謝申し上げます。
ご存じのない方も多いと思いますが、私自身はワインの国内向けプロモーションの仕事をしており、わかりやすいところでは全国で展示会などの運営をしております。そんな私がどうしてこの地でビール造りを始めることとなったのか、少々長い文章となりますが最後までお読みいただけましたら幸いです。

コロナ禍によって私たちの新たな挑戦が決まった

2020年に突如「コロナ禍」による展示会事業のストップ。大勢を集客することが使命であった展示会事業は、飲食店同様、開催そのものが難しくなりました。手探りの中、コロナ禍であっても安全に展示会を開催する方法はないかと感染症の専門家のアドバイスを受けながら大使館、生産者団体などと「COVID-19対策展示会開催に関するガイドライン」を作成、

ワクチンや接触アプリの有効性など様々な視点を盛り込むことで、展示会そのものは継続することができましたが、失った仕事も多く、日々の生活の中で時間を持て余す場面も多くなりました。

工場雪の中

コロナ禍はいつか落ち着くと信じ、この余った時間を何に使えばよいのかと自問する中で、2018年よりアメリカのクラフトビール協会(Brewers Association)から日本向けのプロモーション委託されていたこともあり、ビール造りへの興味が膨らんでいきます。

偶然にも、縁のある長野県佐久穂町の八ヶ岳の国定公園の中に、長年使われていない建物があることを知り、豊かな湧き水の存在と合わせ、大自然の中でのビール造りと重ね合わせるようになりました。自治体で所有するその建物は、長年利用価値を見出せず、建物が再生するならとブルワリーとしての利用を快諾。私達にとって最高の環境でビール造りに挑戦することができることになったのです。

さて、ビール造りを学ばねば… 修行の日々

ビールがどのようにできるのか参考書を読み漁り、頭での理解はできたものの、実際のビール造りをどこで学ぶか?コロナ禍によってたっぷりと時間ができたとはいえ、どこまで経験を積めるのか?コロナから元の生活に戻るまでの期限付きの競争が始まりました。埼玉の自宅からほど近い「さかい河岸ブルワリー」へビール造りの指導を願い出、週2回の修業がスタートします。

ビール醸造トレーニング:糖化

自宅から通える範囲でと選んだブルワリーでしたが、アナログの設備で醸造工程を自らの目と鼻、耳の五感で感じることができたほか、品質面や論理的なレシピの組み立ての知識の深さなど、指導を受ける立場としてはこれ以上ない環境でした。この間、ホップ栽培の指導を受けに山梨に通うなど、使える時間はすべてビールのために。税務署への免許の申請や各種資格の講習や申請など毎日が目まぐるしく過ぎていきます。

次々と舞い込むトラブルと困難

様々な準備を進めながら、醸造設備の選定を進めますが、我々が選んだ環境があまりにも特殊なため、通常の設備ではビールができないかもしれないと気づきます。ブルワリーのある場所は、八ヶ岳の中、周囲には、パウダースノーで人気のスキー場や高山植物に囲まれたキャンプ場、冬になれば結氷した湖面で自動車レースが開催される湖があるなど、本州でも最も寒いエリア。真冬には氷点下20度を下回ることも珍しくない極寒の地なのです。

そのため、冬場には酵母の活動温度を維持することができず、12月から3月頃まではビール造りを断念する必要があるかもしれない。国内ではこのような環境でのブルワリー事例がほとんどありませんでした。そもそも1,600mでのビール造りは日本最高度のブルワリーであり、参考になる設備も周囲にはなかったのです。

また、ブルワリーが周囲の自然に与える影響なども大きな問題になりました。この一帯は、八ヶ岳北東部で暮らす多くの人々の水源となっています。カラマツやミズナラ、シラカバなどが生い茂る、苔生した深い森は、雪解け水をゆっくりと地下に浸透させ、日本でも有数の軟水として湧出します。

表層に湧き出た水は、轟轟と谷を駆け下り、田畑を潤し、一帯の生活水として利用されます。この水は地元の人たちの自慢であり、日々の生活を支えているのです。

「ビール造りにはたくさんの水が必要です。」

ビール1リットルをつくるには約7倍の水が必要とされています。つまり500リットルのビールを仕込むためには3,500リットルの水を排水する必要があるのです。水源を汚染させないため、下水の整っていないブルワリーでは完全な排水浄化設備が必要となりました。高額な浄化設備の導入が重くのしかかり、予定していた工期が大幅に遅れ始めます。その内、工事会社からはすべてが凍り付く冬場の工事を避けたいと言われるなど徐々に歯車が狂い始めます。この頃から、開業を期待する人たちからもいまだ予定の立たないオープン日を聞かれることが増えてきました。

一つ一つ解決し、ゆっくりだが前進する

問題はひとつずつ解決し、時間をかけながら前進しました。本業の空いた時間をブルワリー建設に当てたわけですから、かけられる時間も限られ、はた目には、いったいいつ出来上がるのか?と進みの悪い事業に思われたでしょう。しかしそれでも確実に前進し、問題も乗り越えていきます。どんなに寒くてもビール造りに問題のない設備が出来上がり、排水だって誰にも心配されないレベルまで浄化することができました。他にもたくさんの問題がありましたがここでは割愛。

ビールならどんな個性も表現できる

普段ワインを扱っているので、ワインがいかに多様であるか知っています。同じように見えてもそれぞれ違うし、そういう違いを見つけることもワインの楽しさにつながっています。でもでも、ビールならもっとオリジナリティーや個性を表現できるかもと考えています。ちょっとしたレシピの変更や使用するホップの種類など組み合わせの変化でどこにもないオリジナルのビールを造ることが可能ですし、どんな料理にも合うビールスタイルがあります。

造りたいビールを造るだけではなく、造って喜ばれるビールを造りたい。皆さんがオリジナルのビールを造ってみたいと考えるなら、喜んでそのお手伝いをいたします。ビールならどんな個性も表現できる。もの造りがいかに楽しくて素晴らしことか、多くの皆様に体験してもらいたいのです。

クラウドファウンディングを始めました

他のブルワリーと同じように私たちもクラウドファウンディングを始めました。私たちのブルワリーを知っていただけるように、いつかどこかで手に取っていただけるように、このクラウドファウンディングを通じて私たちの挑戦をしていただけるようにと願いを込めて。
私たちは、八千穂の新しいシンボルとして、八千穂の自然を閉じ込めたビールを遠くの人にもお届けしたいと思っています。

ビールを通じて八千穂の森を感じていただき、いつかこの地に足を運んでみたくなるそんなビールを造っていきます。これからもたくさんの試練を乗り越えられるように皆様のご支援をお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【クラウドファウンディング公開ページ】 https://camp-fire.jp/projects/view/668852

SNSや公開ページのシェアなどよろしくお願いします。

八千穂ブリューイングカンパニー株式会社
八千穂醸造所代表 高岡信明

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